KMZ zorki-1
 
 ゾルキーは「眼光鋭い」とかそんな感じの意味。ライカDIIのコピー。ロシアカメラの中では比較的いい造りらしいです。しかし、ある人は散々にけなし、また一方では傾倒する方々も。さてその使用感や如何に。

 このカメラは何と言っても50年前のものであり、しかもここ数十年はロクに使われていなかったであろうものだから、部品洗浄・グリスアップなどの整備をしてから判断すべきというのが順当なように思える。実際私のはそれで十分滑らかな動作感になった(動作感で言えばライカにはちょっとだけ及びませんが、シャッター音は十分静か)。で、その上でこのカメラの感想としては・・・

 「keep it simple, stupid!」(KISS)、これで十分写真撮れるんじゃん、と。

 自分で光を測って、自分でピントを合わせてシャッターを切る。これだけで写真が撮れるというのは実際味わってみないと分からない感動だ。撮影においては、フィルムの入れ方からして既に面倒だったりと手間の嵐だけども、そんなものはすぐ慣れると断言できる(詳しくはここ(ライカ使用手順)などで)。そして何より、こういう原始的なカメラで撮るということは、写真の重みを撮り手に感じさせてくれる。自分でいろいろやりたいという性向の人(私はまさにそれ)には、この手のカメラは間違い無くお奨めできる。

 また、この手のフルマニュアル・カメラというのは整備し続ければ基本的な部分はずっと使える(少なくとも一生はOK)。「ずっと使えるものを」というのは古めかしい考えかもしれない。しかし、かといって現在のデジタルカメラのように「買い替えを続けないといけない」というのは行きすぎであろう。自分の使う道具は愛着を持って使いたい。そのような要求にもフルマニュアル・カメラは応えてくれるのです。最近のカメラ事情を見るに、たかだかフィルムに過ぎないCCDの技術開発にユーザーが振り回されるというのはちょっとどうなのかと思う。

 機構がシンプルということで、自分での整備も可能になってくる。幸い、ネットにはゾルキー1(同じロシアカメラのフェドも構造が似ているので参考になる)の分解清掃の情報がかなりあるし、こんな本(なかなか分かりやすい)もあります。これらを熟読の上挑戦してみるのはとても刺激的な経験となるでしょう。修理完了後に湧き上がる愛着は、全く以て今のデジタルカメラにはないものです。

 分解は難しいと感じる向きに付言しておくと、ゾルキー1やフェド2あたりは、カメラとしては恐ろしくシンプルなので、「ある程度の手先の器用さ」と「決して逆上しない心」があれば恐らく余裕でできる(後者が大切。あと、力任せの分解は絶対にアウト)。ただし、時間は結構かかる(器用なら初めてでも2時間くらいでできるかも)。私はシャッタードラム清掃・シャッター幕の張りなおしもする羽目になったので結構苦戦しました。もし面倒なら整備済みのものをking-2で買うのが手っ取り早い。ここの値段はあまり安くないと言われたりもしますが、「モノ」として考えたとき、整備済みのゾルキー1やフェド1は確実に「安い」と言えるだろう。

 レンズについて。インダスター22がデザイン的に一番よく似合う。ライカの沈胴式カメラが1925年発表だから、沈胴レンズの歴史はそのときから数えてもそろそろ80年になる。カメラといえば大型の機材であった当時、単なる本体の小型化だけでなく、「携行時にレンズをひっこめる」と発想したこと自体、すごいと思う。しびれます。背中が。現在の沈胴は電動が主流ですが、手動沈胴を味わったが最後、現在の電動沈胴式デジカメなんぞもっさりしすぎててとても使う気にならなくなるのは必定だ。

 レンズ性能について。開放値が暗い(室内では1/25とF3.5が最大露出となり、感度400で明るい室内ならぎりぎりOKではあるけど、やっぱりちょっと暗い)以外は十分写る。但し、いわゆる現代的な描写とは異なる。よく言えば柔らかく、悪く言えば眠い。人物を開放で撮るとちょっと柔らかめに出る。人物のように複雑でないもののピントは開放からきっちりくる。
 この点、フジカラーの誇る(らしい)デジタルプリンタ、フロンティアあたりでプリントすると結構普通のプリントにはなるが、個性は失われる。アナログ機の店(家電量販店では、現像に出すとき大抵プリンターを選べるはず・・・?)またはノーリツ鋼機のプリンターを使っている店を探して濃度を濃い目にプリントしてみたら面白いのではないかと。

 ジュピター8(50mm/F2)について。本当にボロボロで、筐体は勿論、前玉はコーティング傷だらけ(ロシアレンズは前玉のコーティングが弱い気がするので、出来れば保護フィルターを付けられたい)。しかし、本当によく写る。インダスターとは根本的に違う感じ。湿度を伴った立体感というか・・・(特にモノクロで)。インダスターはどっちかというと素直な感じ。ジュピター8のレンズ構成は名高いゾナータイプであり、このレンズを非常に気に入ったことから、後にローライ35のゾナーをも買うことになった。

 補足として一応改良情報を。本体に貼ってある革は樹脂塗装のニセモノなのですが、本物の革を販売しているサイトがいくつかある。私はこちら(残念ながら閉鎖によりリンクは外しました。いい本皮を売っていたのに・・・)で購入しました。合皮ではないのでいい匂いがするし、グリップ感・高級感が段違い。2000円程度のようなので、貼ってみてもいいかもしれない。私の持っているe-typeでは樹脂塗装がはがせないので、ちょっと革が出っ張りますが、まあそこは気にしない方向けか(タイプによってははがせる模様)。私は、機を見てボディシェルを革の厚みの分だけ削ろうかと思ってます。

関係ありそうなリンク>
スナップショット講座・露出編
スナップショット講座・ピント合わせ編
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■スペック
発売年 1950年(b-type)。本機はe-type(1954-)の模様。
レンズ Indaster-22 50mm/F3.5
シャッター B,1/25,1/50-1/500、露出計なし
フォーカス レンジファインダー
ファインダー レンジファインダーとは別の対物ファインダーを装備
サイズ 本体:133*67*33(mm),400g レンズ沈胴時133*67*48(mm)510g

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