ピンホールカメラ、それは0.1-0.3mm程度の穴がレンズの替わりになるという、例のアレ。ドレ?。学研から出たピンホールカメラのキット(大人の科学)がバカ売れしたのも記憶に新しいところです。私もそのキット(何と1800円)を買い、そこからピンホールの魅力にとりつかれたクチだ。昨晩も、国仲涼子さんがパリでピンホールカメラを撮るという番組があった。パリで撮るというイメージ優先の番組構成には失笑を禁じ得なかったが、ピンホールの魅力はまあまあ出ていたと思う(自分で作れるという点やゆっくりと撮るという点、懐かしい感じの画質など)。今度番組を作る際には是非、プロ写真家レベルの腕を持つ林家ペー氏にお願いして欲しい。
ピンホールレンズの一種である、ゾーンプレート。ゾーンプレートが何故像を結ぶかというと、直径1mm程度の同心円状のスリットが光を曲げ(回折という現象らしい)、それがレンズ代わりになるから。写真は、ピンホールレンズよりもずっとソフトフォーカスになる。私は、ピンホール写真の大家であるエドワード・レビンソン氏のサイトを見てその独特のソフトな描写に大変感心し、是非使ってみたくなったのです。そして、どうせならデジタルカメラでやってみようという運びになったのだ。
しかしこのゾーンプレート、ユーザー僅少につき市販されていないので(2006年追記・海外通販があります。こちらでどうぞ。)、自作してみることにする。
作る手順を大まかに言うと、
1、パソコンで、数式に則った同心円の図(鳥オドシ)を描画する。
2、プリンターで出力して壁に貼る。壁と水平になるようにカメラをセットする(三脚も)。
3、図の模様が如何にも怪しく、どこの新興宗教に入ったのかと家族に心配される。
4、文書複写用のモノクロフィルムで鳥オドシをカメラで撮る。(=粒子が細かい)
5、印画紙用現像液で現像する。(=ハイコントラストに仕上がる)
6、鳥オドシの白黒逆像(ネガ)ができる。
7、せっかくだからカメラにつけてみようぜェ。
・・・これではあまりにいい加減なので、正確で詳しい手順はこちら(Crow Hill Laboratory)を参照のこと。(オイ
ゾーンプレートはそのままではただの小さい板なので、加工が必要になる。そこでキヤノンのカメラに取り外しできるよう、壊れたレンズ(EF
80-200/4.5-5.6)の部品とエポキシパテでレンズっぽく成形してみた。レンズの厚みが10mmくらいしかないので、デザイン的に見ても、超薄型で見目麗しいものになったと思う。因みにペンタックスがこの間発表したデジタル一眼用薄型レンズも焦点距離40mmということで、今ここにライバル宣言しておこう。
さて、こちらに完成したゾーンプレートがあるので、早速撮ってみます。どうやらF値は120〜200くらい。日中なら感度800でシャッターが1/4秒くらいなので手持ちはぎりぎりだが、三脚必須なただのピンホールレンズに比べたら天国。
描写は触れ込み通り強度のソフトフォーカス。ただ、私の作ったものは他の方々のに比べてちょっとコントラストが低いような気がする。作り方がいい加減なことが影響しているのかもしれない。もともとコントラストの低い被写体(日陰とか)は、どうも眠すぎて絵にならない感じ。とりあえず今回は、パソコンで何とか見られる程度までコントラストを上げることにした(レベル補正またはトーンカーブ)。<cf.ゾーンプレートについて先述のエドワード氏に質問したところ、丁寧にご返答をいただきました(感謝)>
また、デジタル一眼レフはその宿命として、ゴミと戦わなければならない。F値が大きければ大きいほどゴミは目立つのです。普通のレンズでF16辺りまで絞った状態ですらゴミ問題が深刻なのに、ピンホール系のレンズはF値が100も200もありますから、もうゴミに対応するのはほとんど無理。出来る限り清掃したら、あとは運。出たゴミはPCの写真用ソフトで手作業で除去していくしかない。ゴミを除去したりコントラストをいじったりする度に保存するので、保存形式にjpegを使うと保存の度に画質がどんどん劣化していってしまうことになる。よって私は、撮影時にRAWで撮り、16bitのtiff(保存を繰り返しても劣化しない)で保存・処理している。出来あがった写真はこちら。この描写、イイ。
最後に。作るにしても撮るにしても手間は確かにかかるけれども、手間がかかるというのがピンホールの良いところといわれる。ここにいうピンホール写真の「手間」というのは何なのだろうか。私は当初よく分かりませんでした。ピンホールなど面倒なだけで、ノスタルジー以上のものではないと。しかし今にして思えば、「手間」というのは結局のところ「作る喜び」ではないかと思う。すなわち、ピンホール写真の魅力を一言で言えば「製作から撮影までお仕着せのものを使うことなく進めることができる、貴重な体験」。ちょっと前にポラロイド社から出たピンホール写真キットが、完成品ではなくキットの形態をとっていることもこのことと無縁ではないだろう。
追伸・作る人のために>
ゾーンプレートはその焦点距離(今回作ったのは40mm)と、フィルム面からプレートまでの距離(これも呼称は「焦点距離」ですが・・・)が同じでないといけないので、ミラーのある一眼レフにつけるには広角のゾーンプレートでは無理(プレートがミラーに当たるので)。よって今回はミラーに当たらないで短めの焦点距離、40mmのものを作った。
また、鳥オドシを撮る時は、フィルムに記録する大きさを正確に合わせるのが恐らく一番面倒。精度はミリ以下の世界なので。どうやら、レンズ固有の「繰り出し量」という値を調べないと正確に大きさが出せない模様。しかし、これについては私は次のような方法で回避した(つもり)。
1、プリンターで希望する(フィルム面に最終的に求める)直径を一辺とする正方形をプリントする。
2、カメラをバルブにしてフィルム面にすりガラスを置いてピントを確認できる状態にする。
3、すりガラスに結像する鳥オドシとプリントとが同じ大きさになるように三脚を前後させて撮る。大きさ・濃度についてブラケット(条件を変えて何枚か撮ること)は一応する。
ひょっとしたら精度的に駄目かもしれないので、訂正などあれば是非お寄せ下さい。
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