Ricoh
RICOHFLEX VII
 
 国産二眼レフの最廉価、リコーフレックス。

 リコーは戦後、一般の消費者を相手にした商品(コンパクトカメラのリコーオートハーフや超廉価一眼レフXR500など)で爆発的ヒットを飛ばすが、これはその鏑矢となったカメラといえる。銀座三愛の前に行列ができたり、街のカメラ店では定価以上の価格で売られたりとその大人気ぶりのエピソードが伝えられている。実質初代のリコーフレックスIII(1950年発売)が定価6800円で、当時二眼レフは3万円、普通のカメラが2万円ほどしたそうなので、現在のデジタルカメラの価値にちょうど置き換えられるくらいでしょう。このカメラの人気も当然のように思える。

 まず、何と言ってもそのデザインが良い。国産二眼レフが露骨にローライをモチーフにしたデザインなのに対して、本機は全く異なったデザインとなっている。一応源流はあるようだが、とりあえずあからさまなコピーでなくなっているところに、リコー設計陣の矜持を感じることができる。一般に、あるものを輸入した直後というのはコピーが発生するものだが、それが国内で確立した後も改良を避けパクり続けるというのは感心できない(国産ポップスなど)。石田衣良の言葉を借りれば、「金というのは、ただ物欲や享楽のために(もちろん、それも大事だけれど)つかうものではなく、自分が支持するもの、共感をもつものにつかうべきなのだ。日本人はもっと意思表示としての金のつかいかたに敏感になったほうがいいのではないだろうか」と。

  さて、使用感ですが、さすがにコストダウンがシャッターにきている。バルブと1/25、1/50、1/100の三速式。感度400でピーカンだとF22で1/100となり、ギリギリ。まあ、NDフィルタ入れればいいんですが・・・。因みに、フィルターは36mmのかぶせ式。これは特注になるでしょう。フィルム巻き上げも赤窓を見ながらの手動だから、自動巻き止めのものに比べ若干不便といえば不便かもしれないが、実使用に問題はない。寧ろ、コストをレンズにかけてくれているのが有難いといえる。レンズは3枚しかないトリプレット構成ながら、とてもよく写る。写りをできるだけ犠牲にせず、実使用に問題のない点でコストを削るという本質を突いた構成であるが故に売れたし、現代においても名機として語り継がれているのでしょう。

 写りは、実にいい感じの柔らかさ。しっかり解像しつつ、柔らかい感じもする。追々実写も載せていきたいと思っています。

 唯一の使用上問題になりうる欠点は、ファインダーの暗さ(屋外で明るければほとんど問題にはなりませんが、ちょっと暗くなるときつい)。ただのすりガラスであり、かつミラーが劣化していることがほとんどなので。この点については、スクリーン&ミラー交換の改造で対応することが可能といえば可能。結果からいきましょうか。こんな感じになります。

劣化ミラー 新ミラー
すりガラス
ブロニカスクリーン

 全て同一露出・同一ホワイトバランス。見てのとおり、スクリーン交換は周辺光量に特に効果があり、ミラー交換は全体的に像を明るくする。(すりガラスでの周辺部が異様に光量不足だが、目視ではもうちょっと明るい)
 それにしても効果的。びっくりしました。ピントの山をつかむ性能自体はすりガラスも新スクリーンもそんなに変わらないように思えるのだが、やはり明るいせいか、ルーペなしでもピント合わせができる(開放最短とかは無理)。リコーフレックスに愛を感じる同志の方は是非試してみても面白いかと・・・。手順はこちらで。いつか、ハッセルブラッド用アキュートマットあたりを乗せてやりたい。本体の倍以上の値段ですが・・・。

 追伸>ブロニカスクリーンはえらく汚れているが、元々中古のスクリーンだった上に削るときにちょっと傷をつけてしまったせい。ただ、写真は目視より強調されてる感じではある。唯一、中央左上部の長い傷は目視でも目立つ。これは失敗。弱粘テープでマスキングしてから削ったほうがいいでしょう。また、写真では中央がずれているが、実際は大体中央にきている。旧ミラー下部の像が乱れているが、これはミラー劣化部にアルミで補修してあるから。
 
■スペック
発売年 1954年
レンズ Ricoh anastigmat 75mm/F3.5
シャッター B,1/25,1/50,1/100、露出計なし
フォーカス マット式>マイクロプリズム&マットに改良
ファインダー 二眼レフ
サイズ 本体:72.5*183*100(mm),780g

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